【世界の動物：ヒツジ】起源と歴史 生態と特徴

ヒツジは誰でも知っている動物です。それもそのはずでヒツジは家畜として飼育されているため人間社会に深く浸透しているからなのです。しかしこのヒツジはいったいどこで生まれたのでしょうか。そしてどうして人間社会にここまで深く浸透していったのでしょうか。その謎について追ってみたいと思います。

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特徴

ヒツジはウシ科ヤギ亜科の鯨偶蹄目に分類される動物です。ヒツジは世界各国で飼育されており、サイズは地域によって差異があるのですが、全長は55-70cm、体重は40-70kg程度になります。毛は死ぬまで伸び続けます。角はないものが多くあってもオスだけでメスはないことが多いです。ヒツジの聴力はとても優れており、外敵が迫っていることを事前に察知することができます。また、視野もとても広く、270～230度の角度を見ることができます。これも外敵に襲われることから発達していったことになります。ヒツジは様々な地域で生息することが可能です。森林地帯から砂漠地帯、さらには山岳地帯でも生きていけます。ヒツジは肉食獣に襲われる運命にもあるため、群れたがる傾向にあります。しかし捕食者がいない地域では群れを形成しないことが多いです。一匹の状態では、ゾウやサイなど異種とも群れを作る傾向にあります。これは1頭の状態だと外敵に襲われる危険性があるからです。ヒツジは怒ると意外に怖い動物です。突進すると相当な威力があることが古代から知られており、古代ローマでは破城槌の先端に羊の頭の像が取り付けられたという文化もありました。

生態

ヒツジは食べるのが大好きな動物です。ヒツジは乾草、リンゴ、ニンジン、サツマイモなど、色々なものを食べることができ、飼い主に対しておねだりをよくすることで知られています。オスにおいては角の大きさで群れの中の序列が決まることが多く、同じような角のサイズのヒツジ同士で食べ物争いをすることがあります。ヒツジの繁殖は1回につき、2頭から3頭産むことができます。妊娠期間150日ぐらいです。ヒツジの寿命は10年から12年程度と言われていますが、飼育下の場合は20年ほど生きることが多いです。

起源

ヒツジはそもそもどこで生まれた動物なのでしょうか。紀元前7000年ごろ、古代の時代ではメソポタミア地域がとても文明的に発展していました。当時のこの地域ではの山岳地帯に生息していたムフロンなど羊がいましたが、これらを家畜化したのが今のヒツジの始まりと言われています。つまりイランやシリア、トルコ付近で家畜文化が始まったのです。この家畜化という文化はそれ以降、ヨーロッパ、東アジア、アフリカなどでも取り入れられ、現在に至るのです。紀元前7000-6000年ごろの遺跡からは野生ヒツジとは異なる小型のヒツジの骨が大量に出土しており、証拠も見つかっています。

歴史

西アジア、ヨーロッパ、インド、モンゴルと色々な地域でもヒツジは家畜化されていきました。なぜヒツジが家畜化されたかというと、一つは羊毛があります。そしてヒツジは人間の食用にもなります。ヒツジの脂肪が最良の栄養源であることは現代でもよく知られています。それだけではありません。ヒツジの乳はヨーグルトやチーズに使われますし、ヒツジの皮は羊皮紙を作ることができます。人間にとって多大な利益をもたらすヒツジは、世界各地で飼育されることになります。東アジアなどにもヒツジを家畜化する流れが起き、日本などには西暦500年代にヒツジが渡っていきました。そして中世には大航海時代になり、ヨーロッパ人によって、ヒツジを家畜化する文化が世界中に伝わりました。ヒツジは宗教にも大きな影響を与えました。キリスト教ではメシアに導かれる信徒たちが、しばしば羊飼いに導かれる羊たちになぞらえられました。イスラム教ではヒツジが神に捧げられる生贄にもなりました。

飼育

ヒツジの飼育数は全世界で12億頭と言われており、これは世界中で飼育されていることを示しています。世界で最もヒツジを多く飼育しているのは中国です。中国で約1億3千頭飼育されており、中国はヒツジの国なのです。2位がオーストラリアですが、飼育数が2000年代以降減っています。3位はインドで4位はイラン、5位はスーダンです。

飼育の注意点

ヒツジは風通しがよく日当たりのよいところを選びます。そのため、湿った暗い場所で飼育はしないようにしましょう。ヒツジはがまん強いから、病気になっても弱った姿を見せません。飼い主はヒツジが変な仕草をしたらしっかりケアしてあげる必要があります。早めに獣医に見せる必要があります。羊の飼育には飼育小屋、運動場などが必要になります。また羊は春から夏にかけて青草を食べます。羊が毎日十分食べることが出来るだけの草がある広い土地が必要になります。そのため、飼育にはあまり向いていません。大農場を持っている人に限定されます。

飼育には向いていない

実はヒツジは上記のような環境の問題もありますが、それ以上に羊が病気になったときに診察できる獣医師はあまりいないのがネックです。ヒツジは犬や猫と違ってメジャーなペットではありません。また羊は群で生活することを好む動物です。1頭ではストレスを抱えてしまうため、10頭以上の群れを作って上げることが大事です。このような背景を考えると、よほど広大な土地を持っていないとヒツジの飼育は無理なのです。